秋から冬にかけてカラスは寒さ対策のために大規模な群で集まり集団でねぐらを作る習性があります。
桶ヶ谷沼のような常緑樹の豊かな森林はちょうどいい環境であり、最近は夕方になるとセンターの周り
に大群が集まるようになりました。
南側の菜の花畑が1面カラスで埋まっていました。ハシボソガラスやハシブトガラスが混ざった群れです。
そしてこの中には冬の間しか見られないカラスがいることもあります。
ミヤマガラス(Corvus frugilegus)
ミヤマガラスはユーラシア大陸やヨーロッパに広く分布するカラスであり、冬は越冬のためシベリアから
日本へ渡りを行います。
額が盛り上がり、くちばしが白く、ハシボソガラスやハシブトガラスよりも小型なのが特徴です。
1970年代以前は九州から中国地方の1部にしか見られない珍しい渡り鳥でしたが1980年代以降から越冬分布が拡大し、
静岡県などの東海地方でみられるようになったのはここ20年の間のことでした。
ミヤマガラスは水田や農地で植物の種子を掘り起こして食べることがあるのですが、戦後にDDTやアルドリンなどの
有機塩素系農薬が種子消毒などに使用されたことで大打撃を受け、ヨーロッパで使用された有機水銀系農薬の影響も
致命的でした。1971に日本ではそれらの農薬が規制され、有機水銀系農薬も厳しく取り締まられるようになったことで
徐々に汚染が軽減され環境が回復し積雪の減少や道路交通網の発達で動物の事故死が増え死骸を得やすくなる
などの様々な要因から個体数が増加したようです。